親愛なるジーンへ 2(特装版)
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親愛なるジーンへ 2(特装版)

吾妻香夜

何者かになりたい若者

ネタバレ
2023年8月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 2巻の発売後、賛否のついたレビューに読むのが怖くなりずっと積んでいました。
読んでみて、色々思う人の気持ちもわかるけど、私にとっては星5以上、10あるなら10つけたい、そんな作品です。
『ラムスプリンガの情景』のスピンオフの2巻特装版、小冊子付きです。

2巻になり、カナダへと旅立つことを決めたジーンに対してトレヴァーは何を思ったのか。
トレヴァーも作中で語っていたように、毎日イチャイチャしたいと思っていた気持ちは嘘じゃないけど、甥っ子のジーンに言った「彼にも他の新しい人を知る権利がある」と思ったのも本当だと思う。
本当の自分を救ってくれた若者が今羽ばたこうとしているのに、そんな若者のキラキラ光る未来の可能性を、歳の離れた自分が狭めてしまうなんて考えられない。
私の年齢的にも、ジーンよりトレヴァーの方に感情移入してしまって、そこでワガママを言わずに背中を押してあげることこそが、1番の愛情だと考えたんだなとわかるので、彼らの選択を応援してあげたい気持ちが強くて辛いけど受け入れて読みました。
留学を機に連絡を取らなくなってしまったのは、お互いに遠慮があったからだと思うし、特にトレヴァーからすれば、新しい世界で毎日充実しているであろうジーンに水を指すようなことはできなかったと思います。だからと言って彼のことを忘れたわけではないし、ずっと心には彼がいる。
そんな中で甥っ子というキッカケがあって再会する。
ストーリーも綺麗に回収されて、この先もまた新たなトレヴァーとジーンの関係がそれぞれで想像できるような、素敵なラストだったので読後感がとても良かったです。
本当に、良い映画を見た後のなんとも言えない胸いっぱいな感じです。
これ、本当に名作だわ。
小冊子についてですが、甥っ子のジーンがジーンと会うお話になっています。
それぞれの家族が笑顔で過ごすクリスマス。素敵!
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