秘密基地に愛人
」のレビュー

秘密基地に愛人

内海ロング

めちゃくちゃ良い!!

ネタバレ
2023年8月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●作者さん買いです。いつも読後感が良くて間違いないと思ってるので、あらすじもレビューも見ずに拝読しました。結果めちゃくちゃおもしろかったですし、じーんとして、きゅんとして…もう本当にオススメです!
●物語冒頭の引きがすごい。覇気のない“マンボウ先生”哲二の元に、今いるはずのない光太しか知らない内容が書かれた招待状。その場所へ行ってみると、見知らぬ年下の男が自分の“あだ名”を呼び「愛人にしてよ」と言う。なにこれ?!と思いながら読み進めるわけですが、その疑問の紐解かれ方もさることながら、二人それぞれの胸の内、そして二人(あるいは三人)の関係性が変化していくさまが素晴らしいです。読者がスッと読み取れるように描かれているのもすごい。
●正体を暴くため…ではあるのですが、“彼”と時間を共にする哲二。誰かのことを知ろうとするって誠意がないとできない。光太に対してもそうだったように、哲二はそもそも誠実な人なんだなぁと思います。…そして“彼”は「瞬」と名乗った。
●瞬の切なげな表情や危うさは、読者にだけ見せられるものもあり、とても気になる。その端々を哲二が感じ取って、ほどいていく。本当の瞬の姿を見つけていく。少しずつ、大切にしてやりたいと感じるようになる。
●その生い立ちもあり、心を殺して生きてきた瞬が、一度だけでも…と哲二に“愛人”関係を持ちかけたことが、とても大切な一歩だったように思える。騙すようなやり方は哲二のことも怒らせてしまうけれど、哲二はその「大切な一歩」に気付いてあげられる。“光太”の前で、瞬の本音を引き出してあげた哲二は素敵でした。
●哲二の光太に対する想いもきちんとピリオドが打たれるのが良いです。光太にとって自分は何だったのか、仕事への向き合い方まで変化する。それは瞬と過ごす時間、瞬がもたらした“手紙”のおかげで…。哲二と瞬と光太の関係性が絡まって見事に昇華されていく。素晴らしいです。
●えっちの描写はあっさりですが二度あって、全然意味合いが違う。最後のは甘くてかわいくて優しい。本当に良かったです。オススメしたい!
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