婚約者に側妃として利用されるくらいなら魔術師様の褒賞となります
まつりか/御子柴リョウ
このレビューはネタバレを含みます▼
ストーリーは本のタイトルの通り。本編はアメリア目線で側妃を穏便に回避する為、英雄の褒賞に自分を望んでもらおうと奮闘する物語です。デートを重ね心を通わせていく過程は微笑ましいもので、アメリアはロワールの、ぶっきらぼうな中にある確かな優しさと誠実さを愛する様になります。そして両想いになった2人は計画を成し遂げハッピーエンドを迎えます。
それが番外編のロワール視点になると、素っ気なく見えていた初対面でかなりの衝撃を受けていた事が分かります。規格外の魔力を持つ彼は近付く人間を体調不良にさせてしまう為、伴侶を見つける事は絶望的とされてきました。その彼の目の前でアメリアは元気に、自分を伴侶にしてくれと願って来たのです。さらにアメリアはロワールの束縛や嫉妬を肯定し、彼の内面のネガティブ思考を吹き飛ばす様に愛情を傾けてくれます。ロワールだけじゃ無く、アメリアもまた愛が重い性質なので、2人共お互いの望みを満たし合うベストカップルと言えます。
アメリアの婚約者の王太子ルイスは、バカな事をしました。リリアの誘惑に乗らず、アメリアを唯一の伴侶にすれば彼女の一途な愛情は全て彼のものだったのです。でもいつでも受け身の彼は与えられる事を当然と思い、そのまま結婚したとしてもアメリアに同じだけの愛情を返さないでしょう。ルイスを見限り、ロワールと出会った事はアメリアの行動力が掴み取った幸運でした。
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