ブラック・ジャック 手塚治虫文庫全集
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ブラック・ジャック 手塚治虫文庫全集

手塚治虫

人間とは、命とは。

ネタバレ
2023年8月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 幼少期と今ではブラック・ジャックの受け取り方も変わるだろうか?なんてことが気になって、買って読んでみました。幼い頃読んだもの(確かTreasure book)と掲載順が似ていたのでこちらを。連載順なので話も追いやすくてとても良かったです。
作者自身も仰っていましたが、今見ると手術のシーンや医学知識はデタラメでトンデモなものも少なくありません(というかほとんどそう)。でもそんなことがどうでも良くなるくらい面白く、学びの多い作品でした。人間とは何か、命とは何か、価値とは何か……そうした倫理的なテーマが作品全体にしっかりと据えられています。そして重くなりすぎないようにユーモアで丁寧に包まれている。もう既に読み返しているにも関わらず、二度三度と繰り返し読みたくなるのは流石だなと思います。
ブラック・ジャックの生き様はやっぱり格好良かったです。ヤブ医者だし、手術料もウン千万かと思えば十円とかいうしめちゃくちゃですが、そこから垣間見える彼のだいぶ不器用で人間らしいところにとても惹かれます。もちろんピノコをはじめとする登場人物すべて魅力的です。みんな人間くさくて、卑しい人もいれば慈悲深い人もいるし、助ける人もいれば見捨てる人もいる……そういう意味での魅力がたっぷり詰まってます。
そして何より、緻密で美しく、それでいて大胆で生き生きとした線がたまりません!もう本当に惚れ惚れします。
絵も話も全体の構成も良くて、是非一度読んでほしい本です。
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