このレビューはネタバレを含みます▼
乙女を食い殺す獣だという噂のある領主に、生贄のように奉公に出される牧師の娘がヒロインです。
美女と野獣をモチーフにした作品で、シンデレラも少し入っていました。
ヒロインの視点とヒーローの視点の両方からお話が進みます。
領主のルーファスは心と身体の傷を隠す為に、狼の仮面をかぶり、人を寄せ付けません。
ヒロインのライラは自分を犠牲にして、他人に尽くす健気な子で、ルーファスの傷を癒したいと思います。
心を閉ざしたルーファスと、劣等感の強いライラには、様々なすれ違いが起こり、やきもきします。
私は水島さんの作品は、「囚われのエンゲージ」が面白かったので、何作か読んでいます。
水島さん作品は、過去に傷を負って心を閉ざした俺様ドSなヒーローに、純情で健気なヒロインが「でも、だって、でも、だって」と苛められるのがお約束だと思います。
ヒーローからの愛が読んでいて伝われば俺様ドSなのですが、伝わってこないとモラハラになるので、辛くなる場合も…。
また、ヒロインの「でも、だって」に、感情移入してホロりとするのが大好きなのですが、ウジウジしているように感じて、イラつく方もいらっしゃるかも。
このお話では、ライラとルーファスはお互いに出会った事で、今までの自分の生き方を振り返り、見つめ直していく過程が良かったです。
ライラの境遇が可哀想なので、ハッピーエンドの感動は大きく感じられました。