アナリストの憂鬱
」のレビュー

アナリストの憂鬱

井村仁美

鷲崎さん、邦彦の仕事の邪魔しないで

ネタバレ
2023年8月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 若きアナリスト邦彦(受け)と、敏腕アナリスト鷲崎(攻め)の、証券会社を舞台にした話。邦彦は鷲崎を仕事の面で尊敬、いつしかそれが恋心に変化しているが本人は気づいておらず、鷲崎の方はとっくに邦彦に下心満々で接していたにも関わらず、邦彦は鷲崎の思いにも気づいていなかった。そんなとき、鷲崎は邦彦と同僚女性の仲を誤解しあせったあげくに無理やりいたし、当然邦彦は怒り心頭となるも、鷲崎と元妻との関係に嫉妬したことがきっかけで自分の鷲崎に対する思いに気づくのであった。。。という、どこかで見たことのあるような展開ではあるが、誤解して無理やりしてしまう点以外は割と好きな展開なので楽しめた。
邦彦が、どんなに鷲崎に愛されていても、その状況に甘えることなく成長しようと懸命に戦う姿は好感がもてた。鷲崎を愛して尊敬しているけれど、アナリストとして負けるつもりはない感じがよい。それに比べて鷲崎が笑えるほど大人気ない。
邦彦と鷲崎がくっついたあとは、邦彦がめちゃめちゃ仕事で忙しいせいで鷲崎になかなか会えず、その結果鷲崎が寂しがってなんやかんやすねて邦彦の邪魔をするという展開が何度となくあり、なんとも大人気ない鷲崎にあきれつつも、そんな大人気ない鷲崎を楽しみにしている自分もいた。鷲崎が誤解したり嫉妬したりして邦彦に襲いかかり、それにほだされ結局あえがされてしまう邦彦という、そのお決まりのやり取りを読みたくて4冊読んでしまった気がする。
アナリストという仕事のせいか、主に分析したり原稿書いたりレクチャーしたりが多くて、それもそんなに詳しく描写されてはいないし、敏腕でスーパーマンみたいな人であるはずの鷲崎の優秀さがわかるようなエピソードがあまりなく、鷲崎の言っていることは大したことでもないのに邦彦が必要以上に感心してやっぱりすごい人だ、なんて思ってるあたりちょっと違和感があったけど、ラブストーリー読みたくて読んでるので、この程度でいいのかもしれないとも思った。また、鷲崎がよく「うん?」とか「ん?」とか言うのがどうにも芝居がかったように感じてひっかかった。
新鮮味はないが楽しいコメディで、脇役たちもほどよくからんでくれるし、王道の感じを楽しむのにはいいと思う。
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