人間不信の冒険者たちが世界を救うようです
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人間不信の冒険者たちが世界を救うようです

富士伸太/黒井ススム

途中まではすごくよかったけど

ネタバレ
2023年8月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻から3巻は素晴らしく、これぞラノベの王道と言えるヒロイックサーガでした。素晴らしいと言える点は人間の心に焦点を当てて物語を描いているため、共感しやすく、それでいて背景となる設定などの複雑さもあまりなく、読んで楽しいラノベであったということ。3巻の途中までは類をみないくらいの傑作と言えるものでした。
4巻から先はとにかく微妙。よくできたラノベって、作り込んだ設定はあるのだろうけれど、あえてそれを不必要な部分は出さないで読者が自然に受け入れるものだと思います。
設定的な説明描写が突然あふれでて、しかも、よくあるチープな世界崩壊後のファンタジーであることをご丁寧に説明して、その上、世界の危機にもかかわらず1都市の問題で、主人公たち人が圧倒的な敵に立ち向かう、知恵とかを武器にしつつ、みたいな流れですが。いやいや、それはないでしょう。神?作り出した?みたいな。そんな背景必要だった?神の天使的なヤツ?
それってクライマックスに向けて壮大さじゃなく嘘臭さが増大しない?
作者の方の世界観を作り込んだことを示したい欲求とクライマックスに向けて盛り上がらせたい感満載で、嘘臭くなってしまい、傑作から凡作に一気に落ちた感じです。
説明描写とか読まなくても物語は理解できるから読み飛ばしたし、うさんくさい絡み合ったミステリー要素みたいなのも飛ばして読んで問題ないし。読む価値が一気に落ちたというのが個人的な感想です。
ただ、1-3巻の途中まではメチャクチャ面白いラノベだったので、星4つけておきます。正直メチャクチャ残念なんだけど。
人間模様とか心理描写がうまい作者さんなのに、世界の危機的なところとか世界のはじまりみたいな、どんな作品でも書けば書くほどうさんくさくなる大げさ設定に重きを置くようになったらダメじゃない?って個人的は思いました。
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