このレビューはネタバレを含みます▼
冒頭に佐原真人の告別式の様子が描かれています。
女の服が着たくてたまらなかった神鳥谷等(ひととのやひとし)はワンピースを身体にあてているところを大学のクラスメイトである佐原に見られてしまいます。秘密を知られた神鳥谷はショックを受けますが、佐原は神鳥谷を家に連れ帰り、姉のワンピースを着てみろよと渡します。それからの彼らの7年間の物語。
人と違っていることの悩みや苦しみ、佐原の場合はそれが特に重たいものでしたが、全てを従容と受け入れて親友や恋人を作らないでいようと思っていたのに 彼の人生は1枚のワンピースによって彩りを得、「お手持ちの最も華やかな美しい衣装」というドレスコードの告別式に繋がっていきます。告別式のあとのくだりがとてもせつないです。
その後を描いた「彼等のワンピース」という小説があり、そちらも読もうと思います。
2020年2月 上巻 総238ページ 下巻 総202ページ