かつてそれは愛だった season2【タテヨミ】
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かつてそれは愛だった season2【タテヨミ】

水無月ソラ/いちふみ子

浮気を繰り返す本当の理由は・・・

ネタバレ
2023年9月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ この浮気夫、他の不倫モノと同様にKZには違いないんだけど、なんだか不器用すぎて悲しくなる。なぜなら彼は子供時代から、年下の幼馴染である妻のことが可愛くて大切だったから。つまり単なるオンナ好きではなく、妻に興味を失った訳でもないのだ。むしろ深く愛している。
成長し、ふたりは付き合いだす。彼女は年上の彼の事を頼れる優しい王子様だとずっと見上げてきたが、受験や入社試験を通して彼の方が自分が能力的に劣っていると気がついてしまう。プライドの為か彼女と距離を置いて、初めて浮気をする。すると当然彼女は悲しむが、自分を欲して泣く彼女を見て、「まだ愛されている。大丈夫だ」と自信を取り戻すのだ。自分はもう
尊敬に値する王子様でもヒーローでもなく、ただの凡人だ。いつか彼女がそれに気付いて見限られるのではないか・・・。その恐怖から逃れてまだ愛されていることを確認するために、結婚後も浮気を繰り返し、凡人どころか愚か者に
堕ちていく夫。妻が嘆き憔悴すればするほど、
悦びに震える。彼女の嫉妬心が彼に自信を与える。ついに妻は疲れ果て彼と共に生きていく事を諦めるが、夫がそれほどまでに自分を愛していたことは(当然だが)知る事はなかった。
素直に愛していけば、ずっと一緒にいられたのに・・・夫、救いようが無い!自信の無さから
の行動、失う恐怖を払拭したくて本当に失って
しまった。この辺りの心理描写が秀逸です!
夫の姿が妻に見えなくなるとか、現実離れしてる要素もありますが、それも心理描写と重ねて考えると頷ける。心が離れていく過程の比喩なのかな、とか。シーズン1も面白かったけど、私はこちらの方が好きです。原作小説も読みました。最後すこし泣けた。あまり泣く人いなそうだけどね。
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