月子さんは年下夫をえっちにいじめたい
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月子さんは年下夫をえっちにいじめたい

春日絹衣

最高

ネタバレ
2023年9月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ これまでどんなに作品が面白くてもレビューをして来ませんでしたが、内容があまりに良かったため初めてレビューを投稿しました。

おそらくBLを描き親しんでいるであろう作者様が、女攻めというジャンルを描くと素晴らしいものができるという傾向を常々感じていましたが、こちらの作品はまさにそれです。恥じらう男性側の表情や姿勢、主従逆転する際の男性的な描写まで、一貫したものを感じます。

BLでは、身体的性差が存在しないため、受け攻めを決める要素が登場人物の性格やビジュアルに依拠しがちで、私の中で受け攻めを「納得する」ことが必要でした。一方、女攻め作品は、受け攻めの逆転を前提に話を読めるため、自分で辻褄を合わせる必要がなく純粋に作品を楽しむことができる点が良きだと思っています。

また、BLでは焦点を当てられてこなかった、受け側の男が「男らしさ」とどう向き合うのか、という問いが女攻め作品には存在します。この作品でいえば、年下夫が羞恥に顔を赤ている時、彼自身は「男としての自分」とどう向き合っているのか、ということです。この作品では、主従逆転によって男性性を取り戻した年下夫が、妻を攻める、という描写によって、「男らしさ」への回帰が果たされています(BLでは攻める男性が独占的にこの役割を担っています)。これは、「普段は妻に責められる寛容さがありつつ、やる時はやる」という構造になっていて、年下夫が実際にはただ攻めるだけの男性より「男らしさ」を備えているというように求める訳です。この構造は女攻めにしかありません。

激重レビューになってしまいましたがまとめると、私はこの作品の続きが読みたいし、作者様がこれから描くかもしれない女攻め作品を読みたいです。
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