おしどり縁結び商会へようこそ
」のレビュー

おしどり縁結び商会へようこそ

阿部あかね

下巻で雰囲気ががらりと変わる

ネタバレ
2023年9月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 上巻はタイトルどおりの縁結び話がメインでコメディを交えつつ、相談者たちの抱える悩みや傷、過去を絡めてマッチング率120%に違わない豪と宇楽の働き? が見られる。

このままオムニバス形式で縁結びのストーリーが進むのかと思ったら下巻では豪と宇楽の過去編になり、作品の趣ががらっと変わった。


雪の降る日に出会った豪と宇楽はほんのひととき楽しい時間を過ごし、それから豪はストーカーちっくに宇楽が踊る店に現れ、宇楽の大家で妻帯者の島田と三角関係のような危ういバランスの関係になっていく。

この島田という男は派手なスーツでオラオラな感じのいわゆる悪い男だけれど、宇楽のことは愛していたし、可愛がってもいた。でも、欲張りで傲慢な島田は家族を手放す気は更々なく、宇楽に対する独占欲が垣間見えても幸せにはできないと突き放し、宇楽は面倒くさい男に惚れてしまったなぁと複雑な気分になった。

豪は喜怒哀楽が見えにくい反面、内に秘めた気持ちはとても強く、流されているように見えて自分の我を通す感じがなんとも面白い。


島田と宇楽の関係が濃かったせいか、豪と宇楽、二人だけのいちゃラブなシーンがほとんど無く、三人でシているところを見せられるので、苦手な人は要注意かもしれない。
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