薔薇のマリア
」のレビュー

薔薇のマリア

十文字青/BUNBUN

今の時代からすると古典みたい

ネタバレ
2023年9月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 今は7巻。まとめ買いしたからもったいなくて読んでる。ただ、共感も没入感もあまりない。とても売れたらしい。僕がライトノベルを読まなくなっていた時期なので知らない。一人称で書かれているが、手法として一人称の主語を隠すからはじめはよくわからない。まとめ買いしたので、飽きて、毎回の長い導入部分は飛ばすようにした。作者はポエムのような文体の一人称を好むらしい。主人公がとにかく情けない。知恵と言いつつ毎度パニックのようになって仲間の脚を引っ張る。主人公程度の人間が意見を言えないはずのところで意見を言いまくるところに違和感がある。自己否定するキャラなのに言いたいことだけを言う。なんか痛い人。そんな狂人みたいな主人公に周りが好意をもつ。ストーリーはヤクザもののVシネマのようであり、ぽっと出のサブキャラの一人称の物語を垂れ流す。で、主人公たちがピンチと逆転を繰り返してエンディング。世界観を作者は作り込んでるっぽいし、おしゃれっぽい言い方をする。伏線や謎的なものを散らばせまくる。無法地帯で通貨が通用する意味はわからない。通貨は極論、綺麗な言葉で言えば信頼、ざっくり言うならばその発行主体の軍事力なり強制力による。無法地帯で共通通貨が使える理屈がわからない。
一般的な感性を僕は持っていないのだと思う。
現在の主流のラノベは理屈もなにもわかりやすい。それっぽいほうがわかりやすさよりもウケがよかった10数年前とは事情が異なる。読者が賢くなったのだと思う。
印象としては現代の感覚ではない古典みたいに感じた。たぶん、昔に読んでも共感はしなかっただろうけれど。戦争などが証明したとおり、現実の狂気は打算的か病気だからこの頃の作品の空想上の狂気っぽい狂気は非現実的だなと思った。
文字数に対するコスパはいいけど、あとから殺して盛り上げるとかだけのキャラとか背景とか導入が長過ぎ、毎回。主要な話の流れは2割くらいじゃないだろうか。主要と言っても、ピンチ、乱入が来て逆転、主人公がパニックになってピンチ、逆転とかその結果が伏線とかその辺は単純なんだけれど。Vシネマくらいに。
個人的には、読めるけど好きではない。ウダウダ悩んでる描写が多いけど、余裕が無きゃ悩めないんだよ、普通は。そこでそんな悩みとか思考になるわけ無いよねってのが多い。そんな余裕ある場面だっけ?ってのが多すぎる。
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