サイコ・アナ●バスターズ
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サイコ・アナ●バスターズ

赤色マッシュ

凄い作品

ネタバレ
2023年9月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLのジャンルではくくれない作品。アナーキーアーティスティック漫画とでも言うのかな。コメントにも「無理」「良さがわからない」「ちおりが男だからって、雑に扱うのは理解できない」「男同士だからゴムいらない、なんてゲイを侮蔑している」などの意見があり、本当におっしゃる通り。そこでどうしてもひっかかる方は回れ右で帰っていただくのが最良と思うのですが、この作品の楽しみ方はまた別視点から読むと違うのかなともう感じます。
私たちも普段は心に「露骨な差別意識や侮蔑意識、優越感、嗜虐心」などを抱えているはず。ただ良心や常識で決してそれを表にださないだけですよね。
この漫画は「ひどい事した」「痛いことしてかわいそう」と言う「見えている言動や事実が良いか悪いか」を追うストーリーではなくて、キャラ一人一人の心の中にある「やっかいなもの」がどう変化するか、どう解放されるか、どう癒されるのかを追っていくのが良いかなと。(例えば万引きした主人公を、万引きした!悪いことだ、ドン引きした!と見るだけじゃなく、なんで万引きするに至ったのか、誰と出会ってから万引きしなくなったのか、どうして気持ちが変化したのかみたいな追い方?)
いやもちろん、自分の中にある常識や良心からあまりにかけ離れたストーリーはドン引きしますが笑
(私はマイクのアレは怖すぎて読み飛ばした)

キャラクター全員心に大きな痛みや虚無的なものを抱えながら、自分を誤魔化さずに(怖いくらい)率直に生きていると感じました。私は「明人」があまり良さがわからないのですが、ちおりがたくさんの人がいるクラブで明人に吸い寄せられたのはきっと何か同じ痛みを共有していたからかなと。千織出会ってからの明人がね、もう怖いくらいに自分を解放していく様子はザワザワします。妊娠騒動の後、ちおりとHするシーン印象的でしたね?ちおり「何もつけないできて。僕は妊娠したなんて言わないし。」その言葉に心の荷物を全て下ろしたような明人。2人が強く惹かれ合う理由がわかる象徴的なシーンだったかと。明人が隠し続けてきた本性と願望はきっとちおりにしか受け止められないもので、ちおりの虚無感は「強烈にちおりを求める明人」にしか埋められないものだったのかなと。
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