デーモン聖典(サクリード)
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デーモン聖典(サクリード)

樹なつみ

マジ推し!文句ナシ!

ネタバレ
2013年9月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公は双子の姉妹なんだけれど、主要なキャラクター全員が背負う苦労や苦悩が描かれた群像劇的な物語。地球上の生物とは全く異質な異次元の生物霊的存在=デーモン(人間が名付けた)と、その聖典との話。デーモンが人間に接触する事で人間が消滅してしまうのだが(リターンシンドロームと呼ばれる)極々希に消滅しない人間=鎖がいる。鎖と接触する事で、デーモンに形(ここでは人間)が与えられ、言葉や感情、知識が与えられる。基本デーモンは本能のみで感情はなく単独行動、仲間意識もなく他のデーモンを同種と呼び、共食い関係にある。鎖を得たデーモンは鎖を大事にする。ここに登場するK2と名付けられたデーモンの「5000年(子供らしい)生きてきて好きがいちばんおいしい」という台詞がある。それが、始めのキーワード。その鎖のなかで極々希に聖典と呼ばれる者が生まれる。これはデーモンにとって格別の存在で絶対服従。聖典は各々デーモンによって突然判るものらしい。基本デーモンは不死だが、次の3通りは別。共食いされる屈辱の死、鎖又は聖典の為に迎える無念の死、全てのデーモンが憧れる、聖典の心からの愛の言葉を得た時のみ得られる恍惚の死。デーモンは数十億年、数百億年生きている。聖典に巡り会えるのは生涯一度きり=愛に飢えている。この作品には4人?の聖典を持つデーモンが登場するが、それぞれがいろいろ苦悩し、それぞれの運命の道を行く。そのうち、2人は数千億年生きたデーモン達。彼らは聖典からの最愛の言葉が聞けるのか?それぞれ対極な行動を取るが、私にはどちらが正しいなんて解らない。心はそれぞれのものだから。この4人のうちの1人萩が『唯一無二の聖典をようやく見つけた。この喜びは持った者にしかわからない』……これが、この作品の核心なのだ。背景や設定が複雑な物語だが、だんだん積み重ねてやっと核心が明らかになっていく設定。種明かしもいい辺りでされているし最後まで哀しくも美しいお話。興味のある方は一気に読まれる方が頭に入りやすい。SFファンタジー、かわいいLove(少女マンガ💕ですね)あり、退屈させないオススメ作品です。 余談ですが、樹さんの作品ほぼ、持ってます。今回は携帯だけでなく(目が疲れるので😓)、本も読み返しました。『八雲立つ』出たら即購入します。樹作品中My No.1です!長期休暇中に昔懐かしい本達(マンガだけじゃないよ~当然仕事用のもありますよ💦)に囲まれ幸せです~
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