このレビューはネタバレを含みます▼
佐田が眠りについた最期の夜。特段派手な演出があるわけでもないのに、二人の別れのシーンがあまりに美しく、しばらくの間、涙したまま呆然とした気持ちになりました。
愛した人の姿が崩れていくことに耐えられずに佐田の体を燃やすことを決めた間宮。記録を始めた9月22日からおよそ1週間の間、彼はどんな気持ちで日々を生きたのだろうと考えを巡らせると、あまりの辛さに胸が痛みました。
そばに寄り添い、相手の温もりを知り、果たせぬ約束をしてしまったからこそ間宮は辛い思いをしたと思いますが、佐田と過ごした時間の中に、一生分の彼の幸せがあったのだと信じたいです。
記録を始めたのは9月22日、ということは、佐田との最期の夜は9月21日でしょうか?
全くの偶然ですが、読み終えたあとに今日が9月21日だということに気が付き、絶望的に悲しい気持ちになりました。
忘れ難い作品です。