あやまちは紳士の嗜み
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あやまちは紳士の嗜み

松尾マアタ

前作よりシリアスな展開…最高に良かった😩

ネタバレ
2023年9月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作から7年振りの今作だった事を知り、直ぐに読める幸せを噛み締めました。

今作はポール教授、医学生ジョナサンそれぞれのトラウマを見た様に感じて、人生のままならさを想いました。

以下ネタバレです。

ジョナサン。
読みながら物語の始まり…そもそも何故彼は教授の誘いに乗ったんだろう?と思いました。合法なあれを学部内で売っていたジョナサン。その事を見逃す代わりに…とポール教授の誘いに彼は乗った。場所はちゃんとしたホテルで…。

彼の父は海軍士官。家庭環境はいつも母と息子、2人だけだったのだろうなと。誇れる父だけど、海に出たら遠洋漁業の様に半年くらいは帰ってこないのかなと。それが戦地だったら、1年以上は最低でも帰ってこないのかなと。そんな事を想像したら、母親の背と母が夫を待つ姿を見ながら彼は育ったのかなと。

そんな母が事故で亡くなり、葬儀には父の恋人が来ていた(後々再婚)。ジョナサンはその事をサラッと話していたけど、それは父が不倫をしていたという事を母の葬儀で知ったのかな?と。なのでその後義母とは一緒に住まず、高校は寮のある所にしたのかなと。そして物語冒頭を振り返ると、歳上教授の誘いに乗るジョナサンに、彼の心の中心にある、絶対的に足りない何かを見たように感じました。

父親が大佐に昇進したからセレモニーに、という義母からの電話。女性的な意地悪さがセリフにありました。…三日後😉 このセリフから、義母がどんな性格の女性なのかを表す作者。上手い😩

ポール教授。
青い州の名家=イギリス保守の一族と…。紳士だから愛人などいても良いんだけど、正しくないといけない。だから兄は自分に正しくとカミングアウトし、勘当された。そして末の弟ポールは、一族的に正しくあろうと紳士的に生きてきた(彼もカミングアウトをしようとしたのだけれど…。)ファミリーネームが途絶える(男系)を憂うのは、どこの国にもあるんだなと。

海辺のシーン。
ジョナサンはホテルからのウェルカムカードを海に捨てながら、母さんごめん、と😩。自分も母を苦しめた様に、妻子ある男性を求めてしまったと。ポールに愛を言葉に出来なかったのは、彼にとってはあまりにも重たかったからかなと(年齢的にもまだ若い)

母の死が事故なのか…もそのカードと共に捨てたのかなと思ったら、どこかまた彼の人生が始まった様にも感じて…とても良かったです✨
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