このレビューはネタバレを含みます▼
運命なんて信じていなかった凜太朗が母と同じように桃の木に導かれて運命的にモモと出会い時を経て再会し、困難を乗り越えて家族になるという、なんともドラマチックで切なくも温かい素敵なお話で、魅了されてしまいました。✏
出会いから十数年間凜太朗のことを一途に想い続けていたモモが、彼に好きになってもらおうと頑張る姿が健気で可愛くて、思いっきり応援したくなりました。最初はスンとしていた凜太朗が徐々にモモに絆れていき自分でも気付かないうちに愛情が芽生えていく過程は、とてもピュアで微笑ましくてキュンキュンしました。🐧
フィクションの物語としては、ニホンオオカミたちに認められ祝福されてのエンディングのほうが綺麗にまとまったとは思うのですが、作者様がそこをあえて美化しなかったところに好感を覚えました。悲しい事だけれど、人為的な事が主な原因で絶滅の危機に追い込まれているオオカミたちは、そう簡単に人間を受け入れるはずがありませんからね・・・。✏
なんだか美しい恋物語でありながら、何気に人間と動物との共存とか種の絶滅などについても考えさせられるような、学びのある一冊でした。