死にかけ悪役令嬢の失踪
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死にかけ悪役令嬢の失踪

和泉杏花/鈴ノ助

人嫌いな堅物だけど筋の通ったヒーロー

ネタバレ
2023年10月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ まず、題名から連想するよりも重めな感じで主人公は死にかけましたね。物語の半分位はベッド上の人だったような…ツライ。ヒロインが自由に動けない中、幻想的な海中の描写がいい味を出していて、ヒーローとの静かな心の交流が素敵でした。
主要キャラの主人公もヒーローもとにかく真面目で優秀、そしてタイプは違うけど生き方が不器用。でもヒーローの方が自分のままならない性格を客観視して受け入れてる感じで大人です。一見すると分かりにくい、主人公の人生を蝕む、悪意はないが厄介な家族の存在にもいち早く気づいていたし。いくら悪意なくてもあの家族はナイわ…。主人公の心の成長と幸せのためにブレずに彼女の心身を支え続けたヒーローがとてもカッコよかったです。
ただ、乙女ゲームと悪役令嬢設定は出来ればない方がよかった。妹のヒロイン補正や、悪役令嬢エンドにならないようにするために逆に陥ってしまった、主人公と家族との共依存状態には必要だったのかもしれませんが…。せっかくの幻想的な世界観がお手軽なゲーム設定で途端にチープになってしまう感じがして、そこだけ少し残念でした。でも全体的にはとても好きな作品です。
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