殿とつばめ
」のレビュー

殿とつばめ

小石川あお

切なさと苦しさが

2023年10月10日
300P超えの長編です。かわいくてゆるふわなファンタジーを想像していたら、めちゃくちゃ切なくて重くてしんどかったです。あわはバドエンかとひやひやするほどでしたが、ふたりにとっては最良のハピエンだったのではと思います。
小石川先生の動物に関わるお話はどれも美しくて、愛情が深くて、儚さもあって好きです。
和風ファンタジーで創作の中で、瑞獣で、坊っちゃんであっても好きな人を引き止めるために自分を傷付ける行為は許されないのだから、現代で似たような行為をする人にはとても反省してほしい。それだけが原因ではないにしろ坊っちゃんは反省にいたるのが遅すぎてつらい時期が出来てしまったんだよ…。自分がされて嫌なことは人にしてはいけないって大事な教え。
最後には、与えて救われた人たちに助けられたりしていたし、お互い様になっちゃったし、つばくらもひっそり安堵していたし、ふたりずっと一緒にいるための道を歩みだしたから良かった、良かったけれど!また生えてくるつばくらの羽と違って戻らない坊っちゃんの美しい宝石たちを惜しく思ってしまう…………。つばくらにとっては、坊っちゃん自身が一等輝く宝石なのだろうけれど。
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