MARS外伝
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MARS外伝

惣領冬実

キラッと光る才能を感じる佳作3作品

ネタバレ
2023年10月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ いろいろとなにかと上手い。
コマの切り取りもただ者ではない。
センスの問題なのか?
絵の力?
話の構成も無駄なく余韻も持たせる。
余白の使い方も堂に入っていて大物の風格。
視線の作り方が冴える。
思わせぶり伏線があり唐突ではないのに意外感もある。

「名前のない馬」80頁。MARS外伝。本作は「チェーザレ舞台化記念ー試し読み無料パック」の中にあったので既読。チャカポコとノンビリイメージの曲なのに、スピードに魅せられた樫野零と、木田達也とを結ぶ意外性。これが、零の本質を暗示するのか、と思う。
「眠るライオン」50頁。後悔から投げやりになった主人公の救済。勇気は、最初から持ち合わせてるものではない、だから「振り絞る」という言い方があるくらいだね、と感じた。
「1カラットの果実」60頁。果実と言うより真実からとも感じたが、タイトルは果実。男女が初恋で結婚に至ることは稀。既婚者が、その前、又は、その後、様々な事情によって婚姻に破綻を生じて、再出発。当然子どもは中には複雑な想いもあり得るが、不幸な結婚生活の解消によって、むしろ双方とも前よりよい日々お送ることなることもあるわけなので、このタイトルはいいところを突いている。もちろん、主人公は高校生たちなのだけれど。
モブが道化にさせられているが主人公の性格描写に関しては抜群の説明力を見せた。
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