このレビューはネタバレを含みます▼
恋の始まりから、偽りの結婚をして、痩せて倒れてしまうまで、ずーっと苦しかったね、という気持ちでいっぱいでした。好きだから一緒にいたい、笑顔を向けて欲しいと思いつつ、恋をしているからこそ分かる相手の気持ち。それを確かめたくて、ヒーローの恋する相手と友達になり、その子のこともまた大好きになってしまう。身体が弱く余命僅かな友達にさえ嫉妬してしまう、死を望んでしまう自分が、酷く醜く、許しがたい気持ちになって居た堪れない。だけどヒーローを嫌いになれない、の繰り返しで苦しかったです。自分の欲望で始まってしまった結婚生活を成り立たせようと、ヒロインが自分の気持ちを必死に押さえ込み、傷付き悩み耐えている姿は壮絶です。簡単に、告白してしまえば良いのに、とは言えないような3人の関係性にもう固唾を飲んで見守るしかないような気にさせられます。ヒーローのすぐ上の兄は人の気持ちに敏感らしいので、さぞかし気を揉んでいたことでしょう。歯がゆくて助けてやりたくなったのかも知れないなぁと思いました。自分のことでいっぱいいっぱいだったヒロインは全く気付いていなかったですが、ヒーローもまたこの関係に悩み、翻弄されている様子。後の告白でヒーローもまた苦しんでいたのだと分かりますが、もっと前にヒロインに打ち明けることは出来なかったのかと、思わずにはいられません。でもよく考えてみれば、10代後半から20代前半の年齢で、新米で支社を任された立場であると思えば、頑張っていたと言えるのかもしれないなぁと思いました。周りの人達をヤキモキさせることも多かった二人ですが、お互いの思いが成就し、ハッピーエンドで本当に良かったです。