このレビューはネタバレを含みます▼
あとがきによると、作者様が商業の仕事をするきっかけになった作品で、もともとは「毒の木」というタイトルだったとのこと。そのタイトルのほうがこの作品の禍々しさみたいなものが表現されてていいかも。今のタイトルと表紙の雰囲気と物語があっていないように思えた。表紙だけ見るとなんか甘そうな感じになっちゃっている、甘くないのに。
攻めの笈川は超お金持ちでイケメンで、大学生なのにでっかい企業のトップになっちゃうというあり得ない感じの設定。誰も信じられない、自分がやらなければやられるというような環境の中で生きてきた彼、それに巻き込まれていく受けの洋樹。それって犯罪じゃないか!なつっこみが通用しない世界が延々繰り広げられつつ、お家騒動の顛末なんかは妙にさらっと描写されててあっけないのだけれど、なんか読めてしまった。
笈川は非常に重い罪を背負って生きていて、そしてこれからもずっと背負って生きていきます。彼が罪を犯した理由がこじつけみたいな美談にされてないのはよかった。実はいい人なんです、あのときはそうするしかなかったんです、みたいな設定が私は苦手なので、そうじゃない点はとてもよい。犯罪者野放し状態だけれども。
平凡な受けがスーパーマンに惚れられてほだされて流されてーな感じでいくのかと思ったら、終盤で「身体で払ってください」ときた。おおそうきてくれたか、こういう受け大好きなんだよ。
つっこみどころはたくさんあって、なんじゃそれは、と思うところがないわけではないけど、洋樹の戦う姿勢みたいなものは好きだ。
笈川は結局他の5人とやってたんかな、気になる。(カレーライス)