このレビューはネタバレを含みます▼
以前に読んだ作品が面白かったので、購入しました。その時も重く苦しいくらいの純愛でしたが、本作はそれをはるかに超える重苦しさと、魂からの渇望のような純愛です。国と国との戦争において国民はもちろんですが、その王族の顛末は目を覆いたくなるような惨状で、それだけにヒーローや臣下たちの復讐の気持ちも理解できます。作中では、それぞれの国の内情はどうなのか、政治的な思惑はどうなっているのかまで詳細が描かれていて、読んでいると消耗しますが、ヒーローやヒロインの思考の背景が分かり、どうなってしまうのかとハラハラしました。ヒーローの半生は絶望と屈辱の連続でしたが、ヒロインもまた神の再来と崇められながらも、虐げられ、感情を奪われ、飼い殺されているような状態でした。それぞれの立場や見方でそれぞれの正義は変わるものです。そんな二人がどのように理解し合っていくのかドキドキでした。ヒーローがヒロインを愛する気持ちは凄まじくラストは息をする間も無いほどの一気読みでした。ヒーローもヒロインも幸せになって本当に良かったです。欲を言えば、幸せな二人も読みたかったです。面白かった!