このレビューはネタバレを含みます▼
『お願い・メルティ劇場』で先輩の桐山と付き合いだした海老根にマウント取って嫌みを言っていた苅田がメルティ劇場でモッズコートを着た男にめちゃめちゃに蕩かされ、身も心もズタボロになったところで終わった前作。まさか、苅田がメインとなった作品を読めるとは思わなかった。
先輩の桐山に対して尊敬と共に恋心も持っていた苅田は自分をむちゃくちゃに抱いたクソモの男を簡単に受け入れることができず、自分を魔王と名乗るクソモを排除したいのに真っ直ぐに好意や性欲をぶつけてくるクソモを完全には拒否できない。
桐山のような男になりたいと格好つけている苅田は自分の本音や本心を素直に言えない可愛い奴だったのだなと実感し、それをいち早く見抜いたクソモが執着して溺愛してしまうのはよく分かる。
このまま、クソモと苅田が恋愛関係を築く姿を見ていくのかと思ったら、クソモの言う魔王が本当の意味での魔王であることが明かされ、そのことで苅田が危険な目に遭ったり、魔王であるクソモが人間界に来た理由やクソモの人間界での容姿のことなど、思ってもいない方向へ話が展開していくのも飽きなくて面白い。
『お願い……』でメインカップルとなっていた桐山と海老根の出番もそこそこあり、海老根の優しさと男前さが見られたのも嬉しい。
魔王と人間の苅田では寿命が違うだろうし、苅田に激惚れな魔王がまた取り残されるのは辛いなぁと思っていたら、意外なオチがついて笑ってしまった。