娚の一生
」のレビュー

娚の一生

西炯子

文句ナシの秀作 !

2013年11月22日
評判通り、いや、どの角度から見ても期待以上の作品です。皆さんのレビューも高く、もちろん一気読みです。50代前半独身男性教授と30代半ば独身キャリアウーマンの恋愛話。性別の違いはありますが、私とほぼ同年代の教授の考え方はよくわかるのです。
50歳すぎるまで独身で結婚よりは葬儀の方が近い年代、のこされた時間は少ない。ならば、好きな女性がいるのなら結婚して暮らしたいとおもうのは普通のこと。
それとこの教授、はじめからつぐみにだらしないところをかくしもせず、50年生きたら20代30代の時と考え方がかなりかわります。
一方つぐみは仕事は出来すぎるが男運のない中年女性。これまでの恋愛経験から二度と恋愛しないつもりで長期休暇で祖母の家に来ていた。今後を考えるために。そんな二人がつぐみの祖母の縁で出会い、お互い惹かれていく過程は見事。キャラ設定も殆ど好い人達で不快感は全くない。結婚に興味のなかった中高年男と結婚にトラウマを持つ中年女性の恋愛結婚。教授が器が大きくつぐみを愛しているのが絶妙な描写。また、現代歳の差15歳以上なんて流行でしょ!それで二人が幸せならばNo problem!

標題の意味は私の解釈ですが、教授は普通のおじさんなのに、懐が広く器が大きい。彼は2歳で実父に捨てられた過去があり、それを知るのが中学2年の時、勉強ばかりの学生時代、高校2年で家を出て一人で大学にいった苦学生だったろう。就職(大学関係)してからは養母に仕送りをしていた、その少し前につぐみの祖母に恋をしたが、実らず失恋。二度と恋愛はしないと誓って50過ぎまで独身をとおし、社会的地位も得た。つぐみの祖母が亡くなった時、やっと若い頃の過ちから解放された気分になったもうあんな情熱的な気持ちもスタミナもないと語っている。が、つぐみと出会い、彼女に惹かれていくきもちもとめられなかったのも事実。50過ぎの恋愛感情、彼女の気持ちが落ち着くまで待てる器の大きさや人生経験、実父に会いに行くことで知らされた真実、結婚、子供が出来たこと、その子供息子が大きくなってもまだ元気な現役の大学教授だろうこと、人生の転機なんて年齢は関係ないということ、長い人生紆余曲折あれど、大切な何かを守るなら男は覚悟がいるということ、強くなければならないということ、それが、おとこの一生なのだとおもいます。正に秀作中の秀作です。更に絶品です。
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