このレビューはネタバレを含みます▼
今年話題の作品。
買ったのに、先陣の方々から「しんどい」と聞いてなかなか手が伸びず、今になって読みました。
わかります。これはしんどい…下巻はもう涙でぐちゃぐちゃになるほど泣きました。
レビューを見ていたらやはり不倫ということもあり賛否両論ありましたが、相手の幸せを願う2人が迷いながら選んだ道だと思うと泣けました。
モデルの小田切貴斗×ブランド「IMPERIAL」のデザイナー・霧井梓。
幼馴染みの2人、ずっと両片想いだったけどある時から一線を越えてしまい、でも相手の幸せを思い距離を置くように。そのまま疎遠だったのが、貴斗が梓のブランドのモデルを務めることとなり再会し、また焼け木杭に火がつくストーリーです。
貴斗は既婚で息子もおり、梓にもパートナーがいる状態で2人が燃え上がるので、はじめは読んでいて感情が追いつかず、不倫している自分達に酔っている2人を冷静に見ていました。
ダメだダメだと言っても、会ってしまったらもう好きが止まらないって凄いなー(棒読み)という感じに、どこか冷めた気持ちで読んでいました。
私の涙腺が一気に崩壊したのは、ヴィクトリアミランのスーツを梓が貴斗に送ったこと。そしてさよならをした時の手紙。
最後の夜の睦言もなかなか不倫に酔ってるなーと思いながらも、一緒に死のうと言ってくれた貴斗の覚悟に感動してうるっときたりしていたのですが、スーツを送った梓の覚悟には涙が止まりませんでした。
この世で一緒になる夢は捨てて、一緒のお墓に、同じヴィクトリアミランのエンディングスーツを着て入る。
あの世で一緒になれるように…(号泣)
このラストを読んで、それまでの全てがここに収束していると思えてまた涙が出てきました。
今までしてきた選択のどれかが違っていたら、梓はデザイナーじゃなかったかもしれないし、貴斗もモデルじゃなかったかもしれない。梓が作ったヴィクトリアミランのエンディングスーツを着て、一緒のお墓に入るには、この選択しかなかったんだと思うと胸がいっぱいになります。
ラストまで読んで表紙の意味を理解し、また泣ける。
3冊ありボリュームもありますが、やはりこれは一気に読んでどっぷり浸って読んで欲しいです。
重厚なお話をありがとうございました。