閏うこの月
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閏うこの月

木村イマ

これが「社会人」の話…

ネタバレ
2023年11月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 10~20代前半の頃の自分が読んだら、「光マジで最低!里もなんでこんなウジウジしてるの!?」と変にイラついたかもしれない。
だが30代になった今は、「これが社会で生きるということなんだ…」と沁み沁みしてしまった。
光って単純な悪役なのではなくて、彼にも不器用で不完全なところがあり、人間らしいなと思った。「別れない」ってモラハラ気味に詰めておきながら、自分は他の女と関係を持って、しかもそれを里に言ってしまう…矛盾だらけだ。でも、それが「人に甘えたい」という弱さをもった大人であり人間なんだなと思う。

里も、自分が何者でもない空っぽで(空っぽ症候群みたいなのは20~30代で大体みんな経験するもんなのだろうか)、一念発起してアクセサリー作りをやってみるけど、決して成功しない。でも諦めないしやめない、という描写も凄くリアルで良かった。

閏月を超えた13月以降の海岸を歩いていく描写がものすごく良かった。
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