ヒズ・リトル・アンバー
」のレビュー

ヒズ・リトル・アンバー

ナツメカズキ

浄化される;;ネタバレなし推奨の神作。

ネタバレ
2023年11月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者様買いです。回想から始まるので、時系列ドコ!?と一瞬なりましたが、そんな細けえことはいいんだよとばかりに押し寄せる怒涛の展開に、上下巻+小冊子をノンストップで読み切りました…。満足感がすごいです…。
最初は、可愛い獣人ちゃんと強面だけど性根が優しい男前893ものなのかな?とやっすい読みをしていたのですが、もうそんなもんじゃなかったです。アングラな世界で生きてきた源慈と無垢な琥士郎、交わりそうもない二人はつばきさんを介して運命が交差していきます。読了後に思い返せば、これは二人の恋愛ものであると同時に、源慈の人生譚ないし運命録なのだろうと思いました。琥士郎の主張は一貫しているのに対し、源慈は数奇な運命に翻弄され揺り動く。この対照的な関係図がどう決着するのか。設定もさることながら、言葉にしない情報、心理描写がすごいです。
出会ってからずっと一途に源慈を想い続ける琥士郎と、つばきさんを引きずって大切なものを作ろうとしない源慈。琥士郎への気持ちをやんわりと自覚した源慈が彼の手を強く握って走り出す逃避行シーンは胸がじーんとするとともに、どうなるのか先が読めずにハラハラ。逃避行の末、逃げ切れないという確信、そして兄から聞かされる顛末で腹を決めた源慈。お互いがお互いを想うがゆえに別れを決意し、受け入れる。源慈が琥士郎を突き放すシーンではこっちが涙。その後、源慈への揺るぎない想いを胸に琥士郎が大きな選択をしてからは嫌な予感しかしませんでした。源慈の絶体絶命のピンチに手を差し伸べる琥士郎のシーンは1枚の宗教画のように美しく、そこには愛しかありません。それが本当に悲しさを引き立てていて、予想される結末にページをめくる指が止まり、もう二人が苦しまないならなんでもいい…!!という気持ちで読み進めたところ、拍子抜けするくらいトントンとまとまって、良い意味で呆気にとられました。ナツメ先生の構成が巧妙すぎる…!!!!!!!大大大大満足のハッピーエンド!!!!!!!!もう最高です。幸せ。想いが通じ合ってからのたっぷりえちシーンは、なんかもう崇高でした。もちろんえろいんですが、二人がそれぞれ抱えていた恐怖がなくなり、安寧を手に入れた瞬間。半端なく愛おしさが溢れてきます。
このような素晴らしい作品を世に出していただいたこと、心から感謝します。ナツメ先生!!大好きだーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!
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