主人公は努力の天才

家族に褒められたい主人公が、自分を認めない家族から離れたら、あらゆる分野で才能を発揮して、家族以外からは絶賛される話。
主人公の家族からの抑圧具合が酷くて、読んでて辛い箇所もあるけど、家族から認められない状況でも真っ直ぐ育った主人公の感性と性格は賞賛に値する。
対して、どんなに客観的な実績や評価を見ても主人公を認めない家族の性根の腐り具合が薄ら寒いほどに醜悪だ。
ただ主人公は、自分への客観的評価が全く出来ないのが少しあざとく感じた。開発された新商品が認められたなら、開発者への評価が上がるのは当然の事なのに、自分が賞賛されることに不思議がる様は不自然に思う。家族に評価されたかったのなら、開発した技術への賞賛を過大評価だと認めない主人公の頑なさはポーズにしか見えなかった。
物語の最終盤、家族との話し合いに決着がついて良かった。読者としてはざまぁが少ない、優しすぎる決着だけど家族間の問題解決なら着地点は丁度いいのかも知れない。
主人公が家族と決別してからは、ちゃんと自分の頑張りを認められるようになった事が何より読んできた甲斐があった。
彼女には新天地で幸せになってほしい。