このレビューはネタバレを含みます▼
作者買い。まず最初に非常に残念なのが、今市子先生の挿絵が見られないこと!なんてもったいない!見たかった!
許可証シリーズや作者の他のBL作品とは異なる仄暗さと閉塞感が魅力。でも突き抜けた陰湿さみたいなものを感じないんだよな、じめじめさがない?登場人物ひどい目にあってるのに、なんでだろう。
あらーどんな秘密が隠されているのかしら~、と、ドキドキとあっという間に読み進め、秘密が明かされたあとで最初に戻って読み返すと、冒頭や、合間にあったモノローグが、最初に読んだときとはまた違って見えてきた。
主人公稔(受け、22歳)は、ひきこもり気味で母の介護をする日々。母の実家でいとこの宗司(攻め、30代半ば)、叔母(宗司の母)、母と暮らすことになり、宗司に対する恋情をひたかくしにしながら、その思いを募らせていく。この母ちゃん2人も一筋縄ではいきません!
「宗司になら、何されたってかまわない」な稔、家で仕事して外出しない宗司、二人のやり取りはひたすら家の中だけで展開され、宗司が時おり見せる不穏な雰囲気とかに、なんとも言えない不安がかきたてられる。うーん、心も体も檻の中!
なお、私は無理やりシーンがあまり好きではないのだが、本作で稔が塑造しているときに、講師がやってきて稔を襲うくだり、なんだかとっても昂奮。塑造しながら稔の中に湧き上がっていた欲望と、それを目ざとく感じ取りつけ込む講師。深夜+粘土+欲情がおりなすみだらさに、とっても昂奮しちゃったよ!!
そして尚秋と宜哉の過去話も気になる。満足させないことで執着させていつまでもその心を捉え続けるだなんてこれまたみだらで稔と宗司よりある意味気になった。ほんの一瞬の恋愛感情なんていらない、いつまでも俺を覚えていやがれどろどろどろ~な感じ、たまりませんね。
烏城先生っぽくない作品だったけど、とっても烏城作品だなと思わされたポイント:1、「くすん」2、こうふんを「昂奮」と書く。3、「凌 辱 者」4、エロの時に稔を「みのる」と呼ぶことがある。
(カレーライス)