このレビューはネタバレを含みます▼
全体的にオカルト風味だが、主人公荻乃が14歳の元気いっぱいな男の子で、コミカルな展開も盛り込まれているため、登場人物みんなひどい目にあってる割に暗くはない。でもほんとにみんなひどい目にあっています。愛する人を無惨に殺されたり、自分が殺されそうになったり利用されたりといろいろです。諸悪の根源に見えた人物でさえも過去にいろいろあったっぽいし、皆さん深い悲しみを背負って生きてらっしゃる。登場人物がとてもたくさん出てくるのでその人間関係を覚えるのに苦労し、また、二郷一領とか、異能とかの設定を理解するのにも苦労した。読み終わっても二郷一領の設定を本当の意味では理解しきれてない。ただなんとなく、この作品で語られる異能を持つものたちの魂とか、死後、単縁に関する考えとかが好きだなと思えて読み進められた。
BLではないのだけど、どうしてもBL展開を期待してしまったよ。私は近親ものは特に好きでもないのだけど、本作の藤生、葵、荻乃の三兄弟についてはちょっとそっちを期待してしまった。藤生と葵で荻乃とりあってくんないですかね。そこに尽興(坊さん)もからんでくれれば最高ですね。尽興は当然攻めかと思ったが、荻乃がもっと成長すれば、荻乃攻めもありか?といったことは完全に私の妄想で、本作にはほんのり匂わせな感じもあり、ちょっとキスシーンもあったりしますがそれは色っぽい理由でのキスではないのでいたって健全中の健全です。藤生も非常に気になる人、彼が主人公のスピンオフほしい。あと、鳴瀬がほんとたまらん男で、こいつの過去、今後がほんとにきになるよ!女との恋愛もいいけど、彼のBLなんかも絶対おいしいでしょう。彼を主役にしたスピンオフを熱望します。
異能の力が科学の発達により価値がなくなったという設定は興味深かった。ひたすら不思議系で行くのかと思ったら医学的な方向にいってそっちに行くんかい?となり、興味深くはあったがまとまりきらなかったような?登場人物たくさんで、みんな魅力的なのに、彼らの絡み方がちょっと中途半端でもう少しからんでほしいなとか、荻乃の力の怖さとかも気になるし、いろいろ気になるところで終わられたような感じもして、なんとなくもったいないと思わされた。烏城先生の作品でよく出てくる「くすん」が本作でも見られたよ!うれしい!