このレビューはネタバレを含みます▼
すでに2話まで進んでた頃に確かオススメみたいな感じで1話のお試しが目に付いて要所要所を掻い摘んだ簡略版にもかかわらずエラい面白くて本編を読まずにはいられんぞと駆け込むように読み始めたのが最初のきっかけでした。そこから読む度に『好きになってもかまへんで』でいっぱいになりました。綾人に負けず劣らず。盤ちゃんは綾人と中途半端な状態のままだったら躊躇いなく他の相手と身体の関係を持つし何なら結婚だってしてしまいそうな、クズというニュアンスでは収まりきらない空恐ろしさを放ってた反面、どんなに綾人に素っ気なくされても盤ちゃんにとってはずっと綾人が1番可愛くてどうしても引っ掛かり続ける存在なんだろうなと感じながら読んでました。今後盤ちゃんの被害者の会が拡大しないためにも収まるべき2人が収まった、綾人と盤ちゃんが関係を固めた結末で良かったです。以前某芸人が話してたらしいのですが、好きなものが同じ相手より嫌いだと感じるものが一致してる相手の方が心地好くいられるというその人の自論を、最終回の花火のくだりで思い出しました。盤ちゃんと綾人は、会話も2人の振る舞い(元カノと半端に仲が良いままの綾人や、いまいち綾人に振り切れない盤ちゃん)が良い意味で生々しくて本当に同じ世界にもこういう人いそうだと感じられるところが見事でした。そんな生々しい2人がありそうでない、地に足が着きつつも夢のある恋模様を繰り広げているところに惹き込まれました。特に好きな場面は、盤ちゃんがゲームの中の話として「こっち来て」と言ったのに綾人が実際に盤ちゃんの隣に座りに行ったところです。"かわいいやっちゃ"と盤ちゃんの気持ちが言葉にされてるのも好きです。盤ちゃんて素直は素直ですよね。だから余計に気を揉まされるというか。ラストの綾人は盤ちゃん相手によく腹を括ったなと思いました。ここまで生々しく描かれてると読者の立場ですら遠距離も上手くいって永遠の愛を誓い合うんだなんて俄には信じきれないけど笑、綾人には末長く御されず辛辣な態度でいてほしいし、多少カチンと来てもへぇーへぇーと折れる盤ちゃんでいてほしいと思いました。ショッパーがなくなってたり2人が好転したことを決定付けるさり気ない描写も最高でした。駅でキスをする時「綾人」とわざわざ名前を呼ぶ盤ちゃんが何とも可愛くて願わくば永遠にラブラブしていてほしいと思います。