書き損ないのつくりごと
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書き損ないのつくりごと

宇肘

小説を書く側と読む側、思春期の亀裂

ネタバレ
2023年12月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 単位互換で他大学の講義を受講していた愁は、そこで中学時代の友人・枝折と再会。かつて枝折の書いた小説をきっかけに仲良くなるも成長していく枝折への劣等感から疎遠になっていたが、再び枝折の執筆中の小説に関わることに。思春期の未熟な心では抱えきれなかった想いが未だ燻る、センシティブな再会もの。二人の距離が近付いたと思ったらまた離れて、なかなか本質に触れないままの関係がもどかしい。どちらかが一歩踏み出せばもう一方が引いて、一緒にいたいのに落ち着かなくて。思春期拗らせるとしんどいなあ…。モノローグが文学的で雰囲気あるけど細切れで、過去映像がちょいちょい挟まれるのもあって、誰の、いつの、どこにかかる言葉なのかが分かりにくかった。雰囲気大事だけど、もうちょっとテンポよく読みたい。キス止まりなので受け攻めは分からず。枝折が作家なら、愁は編集に向いてそう。
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