もう興味がないと離婚された令嬢の意外と楽しい新生活【単話】
和泉杏花/さびのぶち
このレビューはネタバレを含みます▼
7話まで読んで。ヴェラとアランの交流は微笑ましくありこのままゆっくり関係を深めて幸せになってほしい…と思う反面、ヴェラの前提背景にもやもやが残ります。
「もう興味がなくなった」なんてキャッチーに悪辣な元夫カルロは7話までに「国のことを立て直そうと必死になっている王族」として描かれて冒頭の人でなしさは何なの?1話だけ別人?並みにつながりません(多分三角関係要員だから?好感度取り戻す感じで人格修正?)。ヴェラの方も「苦手なことは苦手として、得意な内向きのことを細やかに健気にやっていました!」で落ち度なし、それを評価しなかったカルロらが悪いように描かれているけど、この「私は人前に立つことが苦手なので」というスタンスが個人的にめちゃくちゃ好ましくないです。苦手だから最低限にとどめていました、ほかの人を押しのけるような真似はしたくありませんでした。とあるけど、王妃なのに…!?そこを再三カルロから指摘されていたのなら、それは慣習慣例から見て足りなかった、ということでは?「立て直し」が必要な王国の、王妃なんですよ?積極的に前に立ち人心を集めてほしいと思うのは当然では…?何話目かで村人にお礼を言われることがあり、ちゃんと王妃の仕事もしてたアピールもありますが、他は城の人事の調整や、夫のために特別に茶葉を用意して安らぎ空間を提供していた…がピックアップされます。離婚後そこに支障が出てきたとされていますが、いや…それ共有して人を手配すればよくない…?それ、王妃の仕事そっちのけで自らがやらなくちゃダメだった…?求められる仕事を「私は苦手なので」で、やらなくていい他の仕事をし、実際ヴェラがいなくなってあらゆる場所で支障を生むなら本気で「やらなくてよかったこと」ではないですか?(つか引継ぎもなし??時間がなかったとしても信頼関係のあるつなぎ役すらいなかった?それじゃあやってたとされる奥向き仕事内容と人望や人間関係に乖離がありません…?)
なんだか、加護のこと抜きにしても本気で王妃に「向いてないの」で、「落ち度のないかわいそうな有能離婚され妻」が、何か違う。本編の進行がゆったり細やかに心を通わせていく内容だけに、「苦手なことの克服の努力もせず」という前提がすごく雑音です…。普通に加護持ち後妻のために別れた、だけでも、充分悲劇のヒロインだし、追放先で温かな愛を見つける、という粗筋に十分なのに…
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