君は武道館に立てない
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君は武道館に立てない

多田基生

主人公の苦悩

ネタバレ
2023年12月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自分自身の夢を追いかけ続けて、ようやく幸せを掴めたはずでありながら、いつの間にか逃れられない別の運命に足を踏み込んでしまっているという、成島の苦悩が描かれています。次々と幸せになっていく他人との比較や、見て見ぬふりをしてきた月日の重なりは、彼女にとってかなりのプレッシャーになっているといえます。また、やっとたどり着いた新天地でもこれほどまでに想像していなかった世界を目の当たりにするところをみると、現実の厳しさを思い知らされているといえます。「夢」というものは気まぐれで、幸せにも絶望にも変わる、諸刃の剣なのかもしれないと思いました。
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