水属性の魔法使い
」のレビュー

水属性の魔法使い

久宝忠/ノキト/めばる

もちろん面白いが

2024年1月20日
専門ではないであろうところまで、それっぽく言ってて間違っているだろう点があった。
わりと大きなものとして、帝国の戦争のところに国債と周りの他国からの信用的な記述があったんたけど、希少金属の価値で取引するような中世的な世界観で、管理通貨制度のような国の信用を基とした国債制度は成立しないと思うんだ。もしこの世界観で国債を出すなら相手は国民とか商人とかあくまでその国内の話になると思う。なのでこの物語の世界観で国債?信用?。国債の歴史的にみても、今みたいに国が信用で適当に発行できるもんじゃない。中世の公債って貸し手が明確でしょ。引き受け手を考えないで国債を発行してうんぬんは現代の感覚であって、この物語の世界観だとあり得ないと思うんだけど。
この理解の不足を帝国の戦争の動機という、物語の根幹のところでやっちまってて、知識がない読者が、そういうものだと間違った理解をしてしまうのはよろしく無いと思った。
というか、理屈的におかしいだろというツッコミをもらう危険性があるのにここで国債とか信用を出して経済とかをこういうもんて語る必要性なかったと思うんだよね。しかもあり得ないってことは社会や経済を理解できてないのに語ってるのではと邪推してしまう。わりと色々な分野を断定口調で書いてるけど。
物語として読みやすいし面白いんだけど。これは無いよねと理論的にわかる人ならただ楽しめる物語ではある。でも、青少年がそういうのを正しいとか賢いと思って間違って理解してしまうと読んだ人が恥ずかしいことになるんじゃないかという心配はある。
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