ジークの左手
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ジークの左手

あべまりな

強い主張のある、でも絵本の絵のような寓話

2024年1月25日
止まらない、止められない戦争。戦場に駆り出されるのは兵士という、数が勝負の駒たち。将棋を思わせる無限(!?)の戦力という建て付けの軍備補強を担う被抑圧の人々。本作の中、助けてるのか苦しみを結果的に延長させてるのか判らないところは、何かで読んだ野戦病院を思い起こさせる。戦に再び駆り出すために負傷から救ったのではないのに、という看護側の嘆きを読んだことがあるから。
助けるとか、救うとか、簡単ではないけれど、ジークのこの先の行動に希望の光を求めずにはいられない話。
劇画調でないから余計に、この作品の世界の日常性的な感じと余白の語りとを絵柄がジワリ補強してきて、取り込まれたような逃れられない彼らの環境を身近に見せつけられる感じ。
ぞぞぞぞっときた短編。
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