先生の白い噓
」のレビュー

先生の白い噓

鳥飼茜

世界の人々に読んで欲しい

ネタバレ
2024年2月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 萩尾望都先生が褒めてたので読んでみました。
最初はただただ暗く自己肯定感低い女の人達に息苦しくなりましたが、どんどんすごい読み応えになってきた。全然普通で平和な人が出てこない…。早藤はもちろんあやかの不倫相手とか体育教師なんてチョイ役な奴までゲスな男ばっかり。息するようにパワハラモラハラ当たり前。新妻くんが最後まで先生に寄り添ってくれて、先生も応えることができてて嬉しかった。

今よく起きてる性関係の事件も、この作品を読んで余計に身につまされました。布を縫い合わせてる糸がちぎれる、頭と体が引き裂かれる表現は秀逸。それでいて自分にも非があると思わされるんだからほんとに非道だよね…昔の事件についてなんで今更告発するのか?とかいう奴いるけどこれ読んでも言えるかね?

先生の最後の警察での告白や、新しい職場での言葉もすごく刺さる。
私はそこまで男女差間で痛い目を見たことはないんだけど、それでも性差でのモヤモヤは人並みに抱いていて、ここに出てくる女の人達の執着心や閉塞感も共感できた。普段口にしないモヤモヤが言語化されているので、あーそれそれ、そういうことなんだよねと。男女問わず、世界の人々に読んで欲しい。皆がこの作品の苦しさを理解できたら、今より少しましな世界になるんじゃないかと思う。

あとずーっとイライラさせられてたみなこが最後強くなって、ちょっとだけスカッとした。みなこもれいなも、こーいう子いるよねーってだけでなく、各自の性差へのモヤモヤが長じてこうなったんだな、という理解が大事だと思う。まあ看護師さんって言わないのも性差に抗う世の動きに無頓着だったり、本人たちに全く責任がないとは言えず(要するにアホな女に映る、少なくとも私には)、友達にはならんと思うけど…
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