描くのは愛新装版【イラストあり】
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描くのは愛新装版【イラストあり】

剛しいら/朝南かつみ

なかなかよかった

ネタバレ
2024年2月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 攻めと受け、お互い手のひらを返したように?なんというか、ころっと恋に落ちたような感じで、そこら辺の気持ちの変化みたいなものをもう少しじっくり読んでみたかった気もする。
脩平のような、あることだけに特別秀でた天才で、それにのめりこむと他の一切を忘れてしまうような甘えん坊な攻めと、そんな脩平をうまくてなづけ深く愛する受けの幸洋というキャラ設定がとても私好み。悲惨な状況におかれている幸洋に、余計な悲壮感が漂っていない点もよかった。
すごくおもしろかったー、という感じではないのだけれど、味わい深いなとは思った。贋作を作るなんていう犯罪行為を描きつつ、作品全体の雰囲気は重くなく、おぞましいおばさんも出てくるのに暗くなりすぎることもなく、なんだろうこの漂うコミカル感。ゴンザのおかげか?ふと出てくる幽霊のおかげか?
脩平の人生というのはなんとも閉塞的な気がして憂鬱になるのだけれど、絵に魂ごともっていかれそうなほど絵にのめりこむ彼に、「たかが絵さ」と言わせる、この作品のこういうとこはなんか好き。ただの皿をただの皿じゃなくさせるのは人間の欲望だとか、ちょいちょい気の利いた描写がはいって心をつつかれた。
もうちょい、幸洋のお父さんのこととか、周辺の人物にまつわるエピソードにプラスの何かがほしくて、そこら辺が私的に不完全燃焼気味。
朝南かつみ先生の挿絵もっとたくさん見たかった。本当に素敵な絵。脩平の父ちゃんまでかっこいい。
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