別れごっこ
」のレビュー

別れごっこ

剛しいら/山田ユギ

楽しかった

ネタバレ
2024年2月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ ほんとなんでもない話というか、これといって何も起こらない話なのだけれどテンポよくて楽しかった。別れてはまたくっつくを繰り返し、けんかばかりしている攻めと受け。
攻めの冬馬はお金持ちで甘ったれでわがままなお坊ちゃんで、受けの明生のことを大好きだと言いながら、自分の欲望と要求を突き通し、ナニも好き放題に突き通し、ずいぶん勝手なやつ。そんな冬馬の勢いに押し流されるように結局ほだされ付き合いはじめ、ああだこうだ文句を言いながらも、別れても、というか別れればわかれるほど冬馬を忘れられない世話焼きの明生。甘ちゃんな冬馬に対し明生はよく言えば非常に堅実的。二人ともどこかかっこわるいところがあって、決してただ単純にいい男なわけではなくて、それが魅力だったように思う。そんな二人の28歳の現在から物語は始まり、一気に11年前へとさかのぼったあとは少しずつ現在へとまた戻っていくような構成。高校時代の、自分のことで精いっぱいみたいな二人の感じもけっこうよかった。甘さとかよりも、青春時代の身も蓋もない恥ずかしさみたいなものが表現されてて、冬馬の身勝手な言い分さえも、ったくしょうがねーやつだなーな気分になれて、あきれてるのになぜかこのキャラを嫌いになれない、変な感じ。明生の思考回路も理解できない部分があって、なんでそう思うのか腑に落ちない点もちょこちょこあったけど、やっぱり嫌いではない。
この二人はほんとずっとこれからもケンカし続けてくんだろうなー、そんなケンカをもっと先まで見てみたいなと思わせられた。
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