ジェントルマン
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ジェントルマン

山田詠美

誰にでも一線はある

ネタバレ
2024年3月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ そして誰かのことを全て解っていると考えるのは傲ってことでしょうか。サイコパスの彼、やる事は本当に酷いけど、加害者から語られるので淡々としていて、それが彼にとってみれば実に普通事なのが判ります。道徳観念も倫理観も恐怖も感じない彼だけど、共犯者を作ったのは何故?自分のやった事を自慢する為?それとも共犯者が言うように懺悔の為?罪を犯した人は裁かれるべき、と彼の妻は言いますが、これって彼の妹への言葉なら妹の罪は何?ずっと“子供”でいること?でもそれは兄がそうなるようにしている事なのに…妹の恋人が殺されてしまうけど、共犯者は何が許せなかったのだろう?弟のような存在を亡ったこと?それともその弟が下半身血塗れになるようなことをされたことに対する嫉妬?それとも彼が妹に普通の男のように欲情したこと?自分がすき好んで愛し崇め守った相手に対し権利を主張するのはなんて傲慢なことでしょう。でも人には自分自身を愛する権利があるし…ケイの罪って何でしょう?あの一言が言えないってそれだけ?
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