可愛さにキュン、切なさにギュン。

美しい色あいの表紙のイメージそのまま、純粋でキラキラしてまっすぐな恋の話でした。二人ともお互いを大事にしてて、とにかく野球が大好きで。アオハルじゃなくて青春と言いたい空気感。
野球がただの舞台設定じゃなく、ほんとうに真摯に頑張っているのがまた良かったです。仲間みんなの部室を汚すようなことや、試合前に体に負担をかけるようなことは致しません。でも、距離近すぎストレッチだの、手をとって爪チェックだのは見せてくれる、こういうのめちゃ好きです。そして高校最後の試合には思わず涙。
単純バカで素直な雄大と、思慮深くて頼りになる昌太朗、両方の気持ちが丁寧に描かれていて、前半は可愛くて可愛くて、中盤からは切なくて切なくて。私は野球のことは詳しくないけど、チームの中で二人だけあんなに真っ正面で向かい合い続けるのって、スポーツでもなかなか無いのでは。その特別な場所をどうしても失いたくない気持ちが、痛いぐらいに沁みました。
悲しい過去があったり、辛い出来事に見舞われたり、嫌なヤツに邪魔されたり……じゃなくて、ただただ相手が好きで、好きだからこそ戸惑いもあり、すれ違いもある。そういう作品が結局、自分はいちばん心を動かされるよなと再認識する作品でした。
野球部の仲間たちが一人一人しっかりキャラ設定されてるのも、良かったです。みんな個性が立ってて、仲間思いで可愛い。最初は高校球児なのにこの髪型？と思ってしまったけど、ちゃんと背景がありました。そういえば現実でも髪型自由な高校が優勝したんだった（奇しくもこの作品が刊行された直後の大会で）。
カバー下もすごい書き込みで、作者様がほんとうに楽しんで描かれたんだな～というのが伝わり嬉しくなりました。
各話の扉にオフ日デートが描かれているのも可愛い。横浜がモデルなのかな……