名も知らず
」のレビュー

名も知らず

ヤナギナギ

到底受け入れられない(最終巻追記

ネタバレ
2024年3月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ オメガバース社会の「いびつ」がインパクト大でひきつけられてしまう作品です。被差別対象の天涯孤独のオメガの少女が無理やり子供を宿させられた結果、そのアルファを許すことができるのか。受け入れることができるのか…。大前提として「オメガバース社会」だってことを頭に入れて読まなくちゃいけないなと思います。
主人公彩音にとって、「それ」は暴力でしかなかったし、彼は取り返しのつかない無体を強いた加害者でしかない。
割と早い段階で読者には相馬先生のほうに良心の呵責や彩音への思いやりのようなものも見え隠れはするものの、憎しみの矛先になればいいと考えてるのか意思疎通がゼロ。彩音の反発のせいもありまったくもって対話が成り立たない。かといって同居やら入籍やら、形を整えてみせられるも彩音にはそれが更なる恐怖の対象でしかない。
身体的にも社会的にさえ「約束された成功者アルファ」に勝てない。逃げ場がなくなる恐怖。それで対話を欠いて受け入れられるわけがないのに、彩音の恐怖も嫌悪感も絶望も、「そりゃ当然だよな」程度にしか思っていなかったのではないか。「やられっぱなしの子供じゃない」に込められたのは、そう思わなければ母として子供を守って来れなかったという絶望の裏返しなのに、この子のために生きてる、と思っていたのに「子供を置いていけば逃げられるかもしれない」と思わせられる。なんというか、ここまで人間の尊厳の蹂躙できる?って思いました。
これがどう動いていくのか…頼むから相馬先生には中途半端な加害者面せずに彼女のことを思うなら心からの対話を行ってほしい…(もしかしたら発情期前から彩音に思いがあったとか、そういう話も出てくるかもしれないし…だからあの時都合よくいたとか…そういう…)

/(6巻追記)予想は当たってたけど……わー……相馬先生の腕の噛み跡が痛々しすぎる……あの噛み跡は彼女を守ろうとしたあらわれなんですね……

/(最終巻追記)急にさっくり終わってしまって、想像以上に「初手レ○プ」で低評価+読者離れしちゃったのかなぁ…という印象です。オメガバースっていう前提(と、相馬先生のあれこれで何かあると察して)で読み進めていましたが、初手で嫌悪感持ってしまうと真相の6巻までたどり着けないので。ちょっともったいないですね。
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