悪魔×花嫁~選ばれた娘はどっち?~
」のレビュー

悪魔×花嫁~選ばれた娘はどっち?~

碧ゆかこ/花李くる実/村岡みのり

意外と深い作品。

ネタバレ
2024年3月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ ゴシックホラーのような設定に前から興味があり、セール価格とクーポンをきっかけに購入。一気に最後まで読んだ。

絵がキレイだが、ラブラブ要素は控え目。双子の姉妹のうちどちらが「悪魔の花嫁」なのか最後の方まではっきり分からず、悪魔との契約や娘に現れた悪魔の刻印に振り回され、家族が不安や恐怖に囚われて歪んで壊れていく過程が細かく描写されていて良かった。
悪魔との契約履行後の家族の言動の変化も面白い。果たして、残った家族たちはヒロインへの償いの生活に今度はいつまで耐えられるのだろか、とつい想像してしまう。

人間の弱さ、愚かさ、狡さがもたらす悲劇。悪魔と契約をして履行を受けながら、自分達は契約の履行を拒み、約束を一方的に反古にしようと奔走し、自分達の不安や恐怖の気持ちをヒロインに酷い言動でぶつけ続ける祖父、両親、妹。しかも、自分達の行動を毎回正当化して反省しない。都合の良い話だけ聞き、冷静な意見を言われても耳を貸さないし、立場が上なので最終的には自分達の間違った行動が通ってしまうので、行き着くところまで行かないと誰にも止められない。そこを悪意のある人物達につけこまれても気付かないので、事態はさらに悪化する。まさに悪循環。
冷静で優しいヒロインや悪魔、祖母、司祭やその養子達の努力も空回りしてしまうのが見ていて悲しい。最後はヒロインが幸せであれば、権威はあっても無力な教会の正論なんてどうでもよいと思ってしまった。

人間の正と負の部分、家族とは何なのか、厳しい現実と向き合う大切さ、正義や正論では救われない弱者や対処出来ない災害の存在、上に立つ者の義務や責任等考えさせられることが多い奥深い作品だった。
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