ペパロニ・ヴァンパイア
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ペパロニ・ヴァンパイア

須田翔子

めちゃくちゃ面白い…

ネタバレ
2024年3月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 何となく漫画アプリで試し読み、面白すぎて最新刊まで購入した。
マイノリティの生きづらさと、傷を負いながら強く生きるローリと周囲の心の触れ合いを描いた作品。
絵も上手いが漫画の構成力がずば抜けて上手い。映画や漫画のお手本のような第1話。
実の母に否定されて一人ぼっちで生きるローリ。都会に出てドラァグクイーンとして自分の居場所を見つけ、自分がかつてそうされたかったようにママとして娘達に自分らしく生きて良いのだと相手を認めて育てる。そうして愛し愛される家族を得たと思いきや、それが自分の独りよがりだったと思い知らされ、帰る場所も失ったローリは母のいなくなった田舎の実家に帰る。「家族なんかクソ喰らえ」と毒づくも束の間、ヴァンパイアになりたい訳あり少年と出会い家族になっていく。
ここまで「漫画が上手い」と思わされたのは久しぶり。

キャラクターも魅力的でそれぞれの傷が丁寧に描かれていて家族の愛、異性の愛の形をそのまま表現することの難しさやもどかしさを感じさせる。
どんな自分であれ家族に自分自身を受け入れてほしかったローリと多分田舎性質を理解しているがゆえに息子を守りたくて遠くへ追いやった母。何度も気持ちを踏みにじられて家族への憧れを断ち切ろうとしつつも希望を持たずに居られないローリが切なくて可愛くて応援したくなる。
全員表情豊かでギャグシーンのセンスも好き。
何もかも上手い本当にこれ名作でしょ……
恋愛ものとかファンタジーものに比べるとテーマ的に敬遠する人も多そうだけどこれはほんと全人類読むべき。オタク、非オタク関係なく読んだら絶対好きになる。
テーマも一貫しているのでこの方なら最後まで綺麗に描ききってくれる確信がある。
はやく次の巻が読みたい。楽しみ!
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