はるのみず
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はるのみず

fu

雪が溶けてやっと春がきた

ネタバレ
2024年4月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ なんだか掴めないけど、胸がぎゅっと締め付けられて切なくなる話。最初はそんなかんじ、だからもう一度ゆっくり噛み締めるように言葉の意味、表情、間を感じとるように読み直してみると少しずつ登場人物のそれぞれの想いがより一層深まりました。晃は秋哉に病気のことを打ち明けていれば…お互いまたちがった向き合い方ができたのでは?秋哉も記憶など無くさなかったのでは?と1周目読んだ時は野暮なことも思ってしまったけど、人の気持ちは分からない。きっと晃は怖かったんだろうな。自分はその立場を経験していないから分からないけど、大好きな楽しい時間を過ごしてきた友人に打ち明けるのは案外難しいのかもしれない。そんな辛い時間を1人で闘っていたと思うとやりきれなかったけど、ゆきがいてくれたのが本当によかったと思うし、救いだったと思う…そしてそんな本心を隠したがる晃に手紙という形で秋哉を救う手段を遺させてくれたゆき。ゆきが2人を繋いでくれたんだと思うと感謝しかない。ゆきは晃の中にいた秋哉と秋哉の中にいる晃を感じとっている描写がリアルだったし、晃がゆきに友達以上の情があって隠していたのもいなくなってから気づくゆきが切なすぎた…。ゆきと秋哉の中でお互いに晃を感じとって「寂しい」って思いを共有できたのが本当によかったと思う。3人にとってそれぞれが救いになっていたのだろう…。結局人はみな終わりはあるし物体としては消えるけど出逢ったこと過ごした時間が確かにあった、その事実は消えることのない贈り物なんだと思う。ただ少し分からなかったのがゆきの恋愛感情について、多分ゆきは晃も秋哉も人として好きだし、秋哉の中にいる晃も含めて好きなんでしょうけど恋や性を含めて好きなのは秋哉ってことですもんね?恋愛って理屈ではないのかもだけど…そこが少しわかりにくかったです。あと秋哉と晃の関係についてはもう少し深掘りしてほしかったかんじもあります…晃をもう少し感じたかったです。なんかちょこっと惜しさが所々にあります。星5ですが、4.5くらいです。上下巻でやっても良かったような気もします。さいごですが、絵も綺麗ですが、ストーリーも美しく読み応えのある作品でした。★追記: 興を削ぐような終わりになって申し訳ないし、本来の秋哉の姿があれなんだろうけど。ゆきへ、眼鏡をかけて髪を伸ばしまくっている秋哉も最高です。私はどタイプすぎてメロっていました。
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