こめかみひょうひょう
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こめかみひょうひょう

雁須磨子

モノローグが素晴らしい

ネタバレ
2024年4月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 雁須磨子先生は短編もほんとに素晴らしい…。表題作は控えめで優しい橘高くんのモノローグが良くて、作品世界に入り込んでしまいます。芳野くんに言ってしまった言葉に自分がショックを受けて何もいえなくなってしまったり、イジメのきっかけになった昔好きだった人に話しかけられて震えが止まらなくなったり、気づくと彼にシンクロして心を掻き乱されてしまう。そんな臆病な橘高くんを、最後に芳野くんのモノローグが外に連れ出してくれるようで、胸が熱くなりました。他の短編も、読み返すごとに好きになります。出会い系の話と最後の電車の話が特に好き。続きが読みたくなるけどもうこれで完璧みたいな素敵な短編集です。
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