弟の顔して笑うのはもう、やめる【単行本版・描き下ろし特典付き】
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弟の顔して笑うのはもう、やめる【単行本版・描き下ろし特典付き】

神寺千寿

恋愛の痛みと切なさ

ネタバレ
2024年4月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 好きになった女性に、全く異なるアプローチで恋心を伝える二人の男性。
一人は、血の繋がらない女性の弟。
もう一人は、女性の弟の親友男性。
ある日、密かに恋心を募らせていた弟は、ソファで眠る女性を一方的に抱く。
人懐こく面倒見がよく、しかし、ある意味自分勝手な恋愛感情を、愛する女性にぶつける弟。
一方で、病気の身体を抱え、大人しい高校生でありながら、内面の心の襞に隠した様々な想いを文章に綴り、文筆家として活動する、弟の親友。
彼は、彼女が弟に抱かれる前から、彼女と付き合っている。
しかし、心臓疾患を持つ彼は、自由に彼女を抱く身体を持たない。
ただ彼は、彼女を労り、彼女のトラウマや心の傷に寄り添いながら、彼女を支えている。
二人の全く性質の違う男性から恋心を寄せられ、自身の恋心が揺れ動く彼女。
この作品には、恋愛における男女の葛藤と痛みと切なさが描かれている。
その彼らの日常の風景は、あまりにも美しい描写なのである。
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