巣箱の王子様
」のレビュー

巣箱の王子様

秋平しろ

穏やかに進むからこそ心に響く

ネタバレ
2024年4月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ とある会社の庶務課の青柳くんはゲイだが好きになった人に受け入れてもらったことがなく、セ◯レで欲を満たすだけの日々。そんな彼の唯一の癒しは同じ会社の広報部の敏腕部長浅桐さんと毎朝、会社のエレベータで一緒になること。穏やかな性格と麗しい顔から浅桐さんのことを王子と呼んで陰ながら想いを馳せていたのですが、彼がセ◯レ(会社の後輩)とホテルから出てきたところを会社の偉い人に見られそこから浅桐さんにもゲイバレしてしまうことになり…というお話。ここまでのあらすじでは会社のギスギスみたいな気配もしますが、会社自体は偉い人もみんな口が堅いし、会社からあれこれというのは一切ないのでそこだけでかなり好感度高かったです。お話のメインは浅桐さんにゲイバレして心苦しくなり、会社を辞めようとする青柳くんを浅桐さんが引き止めるために人に知られたくないこと(タイトル回収)を共有するというところから、2人が心通わせていくという感じ。絵柄も相まって話は穏やかに進んでいきますが、完璧王子に見えた浅桐さんの心の闇や、叶わない恋と思い込みながらも浅桐さんと過ごすことでどんどん深みに入っていく青柳くんの葛藤はかなりグッとくるものがありました。ただ、青柳くんが妙に前向きなので重たくならずに気持ちよく読み終わることができて読後感がとても良かった!後半に行くにつれて心の闇を持つ浅桐さんが青柳くんに惹かれた理由はきっとそこが大きいよね…と大きく頷くくらい青柳くんは魅力的な子でした。劇的ではないけどしっかり沁みる良作なのでストーリー重視の人にかなりおすすめです!
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