このレビューはネタバレを含みます▼
1度目は何が何だかわからない間に最終ページに到達。気になってしかたない井上の正体が少しずつ見えて、ズルい大人の一面を暴こうとスナオが仕掛けても、一枚上手の井上に煙に巻かれて・・・確かに何も始まらないまま終わってしまった感じでした。それでも重ねて読んでいくと、井上が欲に駆られながらも勘違いを思い知らせるようにスナオを突き放す様や、スナオが暴走しそうになっても井上が頑張って踏みとどまる姿が思いのほか切なかったです。
印象的なのはスナオの「ぼくは知っている。」で始まって、井上の「ぼくは知っている。」で終わるところ。同じセリフでも前者は思春期の高校生の少し大人びた好奇心を、後者は保身から大人の分別を辛うじて保とうとする哀愁を感じ、その対比が秀逸でした。